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ZEROKOBO DESIGN is an architecture and interior design unit, which is based in Hyogo,Japan

実績・事例

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からほりかわらやえん・第一期

からほりかわらやえん・第一期 データ
所在地:大阪市中央区
用 途:テナント + 共同住宅
種 別:リノベーション
竣工年:2015年11月
延床面積:658㎡
構 造:鉄骨造
規 模:地上5階建て

事業主:三和都市開発株式会社
設 計:ZEROKOBO DESIGN

協 力:
照明計画/Durandal 石堂伸悟
ロゴ書家/高桑由佳
緑青サイン・特注照明/hitoketa ヤマサキリエ
黒皮鉄ファサード・ドアデザイン/aizara 山中博貴
意匠木材/有限会社田中製材所 田中由虎
意匠石材/株式会社 オオムラ 大村正一
壁画アート/スペースデザインカレッジ 有志一同
特別協力/WA-SO design 信原宏平

施 工:
営繕工事/株式会社 住高
意匠工事/hatugokoro株式会社
石工事/有限会社マイト 佐々木康至

写 真:
STIRLING ELMENDORF PHOTOGRAPHY
※写真8~14は三木夕渚

メディア:
古民家・文化財建造物再生プロジェクトデザイン
アルファブックス
近年の大阪中心地の開発は目まぐるしく、歴史的価値のある建築は失われ続け、大阪らしさの魅力も薄れて来ているように感じるが、とりわけ歴史性の高い空堀という稀有な場所で、築45年のテナントと住戸からなる複合ビルのリノベーションの依頼を受け、どんなアプローチが出来るのかを考えた.
これまで空堀では先人たちによって、商店街や長屋の再生プロジェクト、アートイベントなどを通してまちづくりが行われてきており、個性的なアトリエやギャラリー、ショップが多く展開し、計画地の向かいには草屋根で有名な長屋を再生した複合ショップ「惣」などもあり、その独特な雰囲気に引き寄せられるかのように、平日でも写真を撮りに来る人などが絶えない.
そのような立地のプロジェクトにあたり、この特殊性を帯びた場所だからこそ、新たな文化発信拠点として、
「空堀らしさ」、「大阪らしさ」を発信出来るような、ある種のシンボル性を与える事を事業主と共に考えた. 
計画地の「瓦屋町」と呼ばれる地名は、瓦の材料となる良質な土が採れた事から、瓦屋が栄え、掘り起こした地形がそのままの状態で道が形成され現在に至ると言われていて、空堀の起伏の多い地形がそれを物語っている.
現在の空堀にも古い瓦屋根の家屋が多く存在し、和瓦の持つしなやかな曲線や美しい色ムラのある風景を眺めている内に、瓦と同様に昔から屋根や外壁の素材として使われてきた銅板を用い、アイコニックな壁面を三次元曲面で、有機的・生命体的なファサードを創る事を着想した.
設計施工のプロセスとしては、二次元設計では十分にイメージを現場に伝える事が出来ない事や、コストの問題もあって、意匠施工チームとミーティングを重ね、規格の銅板を現場にて加工する事、下地の段階で曲面の造作を「超現場主義」で共に造り上げる事に挑戦した.
アナログで泥臭い手法だが、人の手の痕跡が遺る仕事は、造形に命が宿るものだと信じている.
風に舞いダンスするようなスカートの裾からは、夜にはやわらかな灯りが舞い降り、街の燈火となる.
素地の魅力を持つマテリアル達はどんどん経年変化してゆき、「古くもあり、新しくもあるファサード」と呼べるものになって、この複合ビルと空堀の活性化に繋がる事を期待したい.